• 健康的な生活
  • 【沖縄県】「沖縄ワーケーション実証体験」のレポートを報告

  • 2023/03/15 0:00 公開  編集部
  •  沖縄県では、コロナ禍の新たな沖縄観光の在り方を考慮する中、リモートワーク等に象徴される「働き方」や「生活様式」が大きく変化する社会状況を加味し、長期滞在型で沖縄に滞在して頂くために新たな観光ツールとして「沖縄ワーケーション促進事業」を実施しております。

     2022年11月に開催した有識者や起業家が沖縄をウェルビーイング(心身の健康や幸福)の拠点にするための取り組みを紹介した「ワーケーション会議 in 沖縄Next」(沖縄県名護市)には400人を超えるオンライン視聴者が参加し、その反響の大きさから沖縄ワーケーションへの期待や手ごたえを実感いたしました。

     また、首都圏で企業の働き方や社員のwell‐Beingを研究・勉強する8社の企業の従業員に協力を頂き実施した「沖縄ワーケーション実証体験」(2022年10月)について、レポートをまとめさせて頂きました。心身の健康を保ち豊かさを実感できる生き方の指針としての「ウェルビーイング well-being」の考え方は、コロナ禍において日本ではますます注目を集め、今後は個人にまで浸透する概念であると注目されています。

    【沖縄県】「沖縄ワーケーション実証体験」のレポートを報告


    ■沖縄ワーケーション実証体験概要

    ●日程:2022年10月17日(月)~19日(水) 2泊3日

    ●旅程:
    10月17日(月) ①シンボリックアクション勉強会(ガンガラーの谷)②夕食(那覇市)
    10月18日(火) ①各自ワーケーション ②聖地リトリートを琉球セラピストがご案内 ③夕食&地域芸能(南城市)
    10月19日(水) ①琉球薬膳料理、ブルーゾーン料理の講座(那覇市)

    ●参加企業:MS&ADインターリスク総研、住友生命、デロイトトーマツグループ、日本経済新聞社、丸井グループパーソルホールディングス、三井不動産、三井住友トラストホールディングス

    ●参加人数:20代~50代の男女23人

    ●実証体験の結果:
    ・「沖縄は、バケーションやリゾートのイメージが強かった期待が大きかったが、健康食も体験でき、社内のコミュニケーションも良くなった上に参加した企業同士の繋がりが強くなり、東京に帰ってきても、連絡を取り合うなど特別な関係が構築できた」(40代女性管理職)
    ・「沖縄に滞在しながら、会議など仕事をしていると、5分の休憩でも非日常なリフレッシュができ、仕事がはかどった」 (30代IT系男性)
    ・「沖縄にはより良く生きている地元の人のおおらかさを感じられ、現代社会に不足している“つながり”がある。 社会のニーズである、well‐Beingは沖縄が聖地だと言っても過言ではない」(40代管理職男性)
    ・「プログラム全体を通して、Personal Well-beingに資するものとして、⾃分に向き合うことによって得られるもの、他者との対話により得られるものがあると気が付いた。沖縄は両⽅を体感することができ、とても有意義だった」(30代女性会社員)
    ・「沖縄がアジア唯一、世界五大長寿領域“ブルーゾーン”の一つと初めて知ったが、大らかで幸せそうな地元の人々に触れ合い本質的なWell‐beingが沖縄にはあると感じた」(50代男性管理職)

     

    Q:ワーケーション滞在先を選ぶ時、何を重視しますか︖

    【沖縄県】「沖縄ワーケーション実証体験」のレポートを報告

    参加者の多くがワーケーションの滞在地として重視するのはWi-Fiなどの設備環境だけではなく「都会でできない時間の過ごし方」、「リフレッシュ/気分が転換できる」、「食や体験を通して健康になれる」など精神的なメリットを重視する声が多かった。

     

    ■有識者の声 ワーケーション会議 in 沖縄Next(2022年11月開催)より抜粋

    Well‐Beingの聖地と言われてるのはなぜ?
    沖縄はアジア唯一の「ブルーゾーン」
    次世代の旅再生できる場所

    23年前に福島県から沖縄県に移住して、百歳以上の長寿者の研究を続けており、計1813人の疫学研究で長寿の生活習慣が明らかになってきた。研究著書で百歳以上が多い世界5つの地域は「ブルーゾーン」と言及されており、イタリア、米国、ギリシャ、コスタリカのほか沖縄県が該当し、5つの地域には共通したルールがある。運動、食事など生活習慣のほか、生き方だ。はっきりした人生の目的を持ち、スローライフを楽しむ。家族を大切にすることも長寿に寄与している。最後は人、地域、社会、自然との様々なつながりだ。このつながりこそ健康長寿の秘訣。ポストコロナ時代のライフスタイルである提案したい。

    沖縄の観光ツーリズムも研究しているが、SNS(交流サイト)などデジタルテクノロジーの発展によってリアルに人と出会う旅は再評価された。都市圏のビジネスパーソンも長寿のルールである「ウェルネスライフスタイル」を実践している。その人たちは観光旅行でも保養や滋養を求めるだけなく、自然や地域コミュニティーと結びつき、新しい発見や自己実現を目指す。リゾート地、沖縄が果たす次世代の旅、観光とは旅行客が自らをリボーン(再生)できる場所となることだ。都市部への必要な情報発信は例えばリゾートあれば非日常、異日常での発見といった高付加価値な呼びかけだろう。訪れる人が自然、地域のつながりを通じて新しい生き方が描ける「ライフスイル・デザインの島」こそが沖縄にある最大の価値だ。

    【沖縄県】「沖縄ワーケーション実証体験」のレポートを報告【沖縄県】「沖縄ワーケーション実証体験」のレポートを報告

    荒川 雅志氏 琉球大学国際地域創造学部教授
    1972年福島県生まれ。世界5大長寿地域“ブルーゾーン”沖縄100歳長寿者のライフスタイル研究、沖縄の美容と健康素材の研究で福岡大学大学院医学研究科社会医学疫学専攻修了。医学博士。日本から発信する新しいウェルネスの定義、ウェルネスSDGsなど、ウェルネス研究、ウェルネスツーリズム研究の第一人者、海洋療法学者。全米ビジネス書ベストセラー『The Blue Zones(ブルーゾーン) 世界の100 歳人に学ぶ健康と長寿9つのルール』翻訳・監修者。

     

    沖縄のワーケーションに向く人は仕事も遊びもきっちり区別しない人。
    移動はイノベーティブを刺激する

    仕事と休暇はどちらでも学びの機会がある。ワーケーションに向く人はきっちり区別しない人だ。沖縄はバケーションの色彩が強いからこそ、真面目な日本人が来ればバランスが良くなり、新しいイノベーションが起きやすい。沖縄の最大の魅力は人だ。関係を長く続けるには地元のプレーヤーとの交流が必要だ。来県者と地元のつながりの場をつくることがワーケーションを広げるきっかけになる。ただ目的地に向かうより、多様な場所に行く人が地元でつながりを生みやすい。研究でイノベーティブになる時間は移動中が効果的ということが明らかになっている。飛行機で来県し、県内でも移動時間がかかるが、それは発想の時間と捉えると物事の見方が変わる。

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    石川 善樹(医学博士) 予防医学研究者 公益財団法人 Well-being for Planet Earth 代表理事
    1981年、広島県生まれ。東京大学医学部健康科学科卒業、ハーバード大学公衆衛生大学院修了後、自治医科大学で博士(医学)取得。公益財団法人Wellbeing for Planet Earth代表理事。「人がよく生きる(Good Life)とは何か」をテーマとして、企業や大学と学際的研究を行う。専門分野は、予防医学、行動科学、計算創造学、概念進化論など。近著は、フルライフ(NewsPicks Publishing)、考え続ける力(ちくま新書)など。

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